「にしても、すごい量やな」
「本当・・・過労死しそう」
放課後。
役員会の仕事を任されて忍足と2人で黙々と作業をこなす。が、これがなかなかの量で。
「それは大袈裟やろ」
忍足からのそんなツッコミを軽く聞き流しながら、作業を進める。
「忍足、今日も部活あるんでしょ?行っといでよ」
「アホかいな。俺が行って、自分に過労死されたら人殺しになるやん」
「はは」
眉間に皺を寄せて、困ったような表情をする彼に小さく笑って返して。
「さあ、頑張りますか!」と、気持ち改め、作業する手を早めようとしたその時。
「忍足くん」
突然聞こえた声に顔を上げると、ドアのところに女の子が一人佇んでいた。
「あの、少しだけ時間いいかな?」
その子は忍足の名を呼び、少し照れたように彼を見つめる。
その姿に何の用事か、なんとなく察する。
「あー堪忍な。今、」
「いいよいいよ!」
「は?」
断ろうとした忍足の言葉を遮って、私は話を進める。
「ほら!女子の一大決心を蔑ろにしない!」
「・・・しゃあないな」
忍足は一つ溜息をつき、重い腰を上げる。
そしてそのまま女子のもとに行き、一言二言話した後、教室を出て行った。
2人の後ろ姿を見送り、静かな教室で黙々作業を続ける。
しばらくすると、廊下を歩く足音が近付いてきて。
忍足が帰ってきたんだろうとその様子を確認して声を掛ける。
「おかえり。告白だった?」
「わかっとったくせに」
忍足は隣の席に腰掛け、再び作業を始める。
それを見て、私も止めていた手を動かす。
「いいなぁ・・・告白疲れしてみたい」
「・・・なんやねん、それ」
「告白されすぎて、溜息ついてみたい」
そんな私の返事に忍足はまた溜息をつく。
「・・・自分はなんとも思わへんの?」
「え?」
「俺が告白されて」
「もちろん羨ましいに決まってんじゃん」
「ちゃうわ」
視線を感じて忍足の方を向くと、音が鳴りそうなくらいばっちりと目が合う。
その瞳は真っ直ぐ私を見据えていて、目を逸らす事が出来ない。
「嫉妬してくれへんの?」
「え・・・」
「自分にされたいんやけど、告白」
ふっと微笑む忍足に顔が熱くなる。
「その様子じゃ、まだまだしてもらえそうにないなぁ」
「え、何言ってんの・・・」
突然の話の展開に頭がついていかない。
「わからんか?まあ、ええわ。その自分の言う告白疲れっちゅーやつ」
は
じ
ま
り
の
予
感
(俺がさせたるわ、覚悟しぃや)